【悪の教典上 書評】サイコ教師 蓮実に憧れて

こんにちは、三太郎です

 

悪の教典上」を一言で表すとすると、、、

 

蓮実サイコパス過ぎるだろ!!!    

 

私が読んだのはハードカバーだったので、上巻だけでとんでもない厚さ。読む前はその圧倒的なページ数で手が出しづらかったんだよね。蓮見ならこの本で、事故に見せかけ、誰かを撲殺するんじゃないか、ってぐらい。

 

 

けど、いざ読んでみると、そのスピード感に、ページをめくる手が止まらない(笑)自分の目標(?)のため、淡々と計画の邪魔者を殺していく蓮見。読んでいてとても爽快だった。悪役にありがちな、取返しのつかないようなミスは無く、完璧ともいえる出来だ。

 

昔から、悪役とかに憧れていた私である。この本に、はまらないわけがない。

 

 

最初の方は、典型的な「良い先生」として書かれている蓮見。生徒指導という、生徒から嫌われる役職NO.1にもかかわらず、生徒からは絶大な人気を誇る。自分のクラスの生徒を、セクハラ体育教師の手から救ったり、教頭からの無茶振りにも難なく対応していく。

 

 

だが、物語が進んでいくに従って、蓮見の猟奇的な一面が見え始める。その一面が垣間見えたのは、家のカラスを撃退する場面だ。蓮見は長いこと、朝早くに、うるさく鳴きわめく二匹のカラスに悩まされていたのだが、ついに電気ショックによりカラスの駆除に成功する。

 

 

その死体を処理する際、蓮実は三文オペラ」の「モリタート」という口笛を吹く。そのモリタートとは本書において、おそらく重要な役割を担うものと推測される。

 

 

今後、蓮実は数々の殺人を犯していくことになるのだが、その時、いつもこのモリタートを、口ずさんでいるのだ。

 

 

 

 

『蓮見は自分が無意識に口笛を吹いているのに気づいた。癖というのは、なかなか直らないものらしい』

 

『どこからか、「モリタート」のメロディが、聞こえてくる。それで、自分が楽しげに口笛を吹いていることに気づく』

 

『ごく自然に、口笛を吹いていた。メロディはもちろんモリタートである』

 

 

これらは全て、誰かや何かを殺した後の蓮実の描写だ。

 

「癖」という部分を読んだとき、カラスの死、という部分と重なって、今まで何かを殺すことを癖になるほどしてきたのかな、と思った。実際にYOUTUBEモリタートを聞いてみた時、自分の予想は確信に変わった。童話のようなテンポに関わらず、歌詞は恐ろしい。

 

 


ワイル 《三文オペラ》「モリタート」歌:ブレヒト

 

 

物語中盤くらいからは蓮実もガンガン悪事を重ねていく。モンスターペアレンツを放火魔の仕業に見せかけて殺すし、自分の恋のライバルを、酔わせた挙句昏睡させ、ひき逃げを装わせて懲戒免職させるし、自分のクラスの女子と、他の先生を脅迫して借りたリッチな家でエッチなことをしちゃうし....コラ!

 

 

まあそこも含めて蓮実なんだろうな。

 

 

ちょっと残念だったのが釣井先生。いい感じに、蓮実のライバル的な存在になってくれるかなーなんて思ってたのに、上巻ラストであっけなく殺されてしまうんだよね。個人的には二人の騙しあいみたいな展開も期待していたから、少し残念。まあーでも、蓮実がサイコだって気づいてる生徒もいるから、後半は、そいつらの活躍に期待ってことかな。まあ、いつかは蓮実に殺されちゃうだろうな。

 

 最後まで読んでいただきありがとうございました

 

それではまた別の記事で~